ロクタ紙と和紙の違いについて聞かれる機会が多くあります。それぞれの紙がつくられる原材料が違います。ロクタ紙は「ロクタ」樹を材料としてつくられ、和紙の多くは「コウゾ」を材料につくられています。植物の大まかな違いや用途は以下のようになります。
<ロクタやミツマタ>・・・ジンチョウゲ科、生成色の繊維、繊維につやがある、繊維が長い、多くは溜漉き工法による紙、保存書・紙幣など
<コウゾ>・・・クワ科、白色の繊維、繊維がふわっとしている、ロクタやミツマタに比べ繊維が短い、多くは流し漉き工法による紙、半紙・懐紙・奉書、障子、襖紙など
-日本の手漉き紙「和紙」について-
中国から日本に紙が伝わった7世紀初期、日本で使われていた紙はミツマタ紙が多かったと思います。伝来品である紙はたいへん貴重なものであったとともに、貴族文化のなかで使われていました。コウゾでつくられた紙が「和紙」の主流となった背景に、コウゾの性質が日本の風土に適していた、手作業に向いた柔らかい繊維、自然水の豊富さ、さらには養蚕産業とも結びつき、日本の紙文化・産業として根付いていったと思われます。
次回は「日本人のくらしと紙」をおはなししたいと思います。
